移動平均線の言葉の意味
移動平均線は、英語でMoving Averageという。以下のとおり3種類の移動平均線が存在する。
① 単純移動平均線(Simple Moving Average(SMA))
② 加重移動平均線(Weighted Moving Average(WMA))
③ 指数平滑移動平均線(Exponential Moving Average(EMA))
Exponential(エクスポネンシャル)は、直訳すると「指数関数的」の意味となる。
「指数」とは、「aのx乗」で言うところの、「x」のこと。指数関数とは、この「x」が変化することによりカーブ型に線を描く関数のことを言う。
(2の2乗は4、2の3乗は8、2の4乗は16・・・というように、指数は1ずつ増えているが関数の解は飛躍的に増えていく)
移動平均線の概略
移動平均線はその名のとおり、一定期間の価格の推移(移動)を平均化した線にして、価格の動きを滑らかにわかりやすくしたもの。
移動平均線の計算式
①単純移動平均線(SMA):(1日目の終値+2日目の終値+…+N日目の終値)÷N
N日間の終値の値を、N日間で平均した値が、当日の移動平均値となり、毎日これを更新した値をつなぐことで移動平均「線」となる。
※1時間足、分足などの場合は、Nを日数ではなく1時間、1分などにすることもある。
②加重移動平均線(WMA):(1日目の終値+2日目の終値×2+3日目の終値×3+…+N日目の終値×N)÷(1+2+3+…+N)
※分子において、平均するデータ数が1、2、3…Nと増えていっていることから、分母も同様に増やす必要がある。
直近の終値に重みを置くことで、追従性や感応度が増す。
③指数平滑移動平均線(EMA):
=前日のEMA+α×(当日の終値-前日のEMA) ⇒当日の終値と前日のEMAの差に平滑定数を掛け、前日EMAに加える考え方(1)。
=前日のEMA+当日の終値×a-前日のEMA×a
=前日のEMA×(1-a)+当日の終値×a ⇒当日の終値に平滑定数を掛け、前日のEMAには1-平滑定数を掛ける考え方(2)。
α=2÷(N +1)
計算式をバラしていくと、前日の{EMA×(N-1)+当日の終値×2}÷(N+1)となる。 ⇒当日の終値を2倍にして重視し、その分平均する母数が1増えるのでN+1で除する考え方。
単純移動平均線には、以下の問題がある。
1.過去N日間の価格をすべて同じ日中で扱っている
2.過去N日間より前の価格をすべて切り捨てている
テクニカル分析では、過去の価格が現在の価格に影響を与えるということが前提になっている。そのような前提において、すべての価格を平等に扱わないこととしたのが、②の加重移動平均線である。
他方、①単純移動平均線、②加重移動平均線のいずれについても、2.の問題は解決されていない。すなわち、たとえば、N日の期間中に突然の暴騰や暴落があったとして、N日の期間中に収まっている場合は考慮されるが、N日がすぎた瞬間に考慮されないこととなる(そのため、新たにN日に加わった最新日が暴騰か暴落と同程度の動きをしないと、移動平均線が暴騰・暴落の消滅に引きずられることとなる)。
※単純移動平均線が上に動くか下に動くかは、N日期間からはずれて消滅した価格より、当日の価格が大きいか否かで決まると言うこと。
その点、③指数平滑移動平均線に関しては、当日の値を求めるのに過去のEMAを用いていることから、N日期間から外れたものを切り捨てるということがない。
移動平均線のパラメーター
①単純移動平均線、②加重移動平均線、③指数平滑移動平均線のいずれも期間(日数)のNが変化するパラメーターとなる。
移動平均線の使い方
ゴールデンクロス(買い)
短期の移動平均線が中長期の移動平均線を交差して上抜けると、一般的に買いシグナルとなり上昇トレンドが生じる傾向がある。
デッドクロス(売り)
短期の移動平均線が中長期の移動平均線を交差して下抜けると、一般的に売りシグナルとなり下降トレンドが生じる傾向がある。
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